日帰り手術とは
術式や内視鏡機器をはじめとした手術機器が大きく進歩した現在、小さい切開で精密な切除が可能になり、侵襲が少なく術後の出血と言った合併症リスクを大幅に低減した様々な手術を日帰りで受けられるようになっています。
耳鼻咽喉科領域でも、以前であれば口腔内の歯肉を切開して行っていた鼻腔内の手術を、鼻腔に挿入した内視鏡によって行うことができるようになっているなど、多くの日帰り手術が可能になっています。
安全性が高く、入院の必要がないことから、心身への負担軽減に加え、時間的・経済的な負担も抑えられます。スケジュールも作りやすいことから、忙しい方でも手術を受けることが可能です。
当院では、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎に対応した日帰り手術を行っており、患者様の状態や年齢などに合わせて複数の術式を組み合わせたハイブリッド手術も日帰りで行っています。
当院で対応可能な疾患
日帰り手術のメリット
仕事や学業への早い復帰が可能
日帰り手術では入院の必要がなく、手術当日にご帰宅できますが、術後には数日の安静が必要となります。当院で行っている日帰り手術では、ほとんどの場合、術後2~3日程度で仕事や学業に復帰されています。
手術内容や年齢などによって個人差はありますので、復帰についてもしっかりお伝えしています。なお、同じ手術を入院して受ける場合、入院期間は1週間から10日程度となります。
お身体への負担軽減
当院の日帰り手術では、手術自体の所要時間が最短10分、最長でも2時間半程度と短時間になっています。侵襲が少なく、手術時間も短いことで、心身への負担も大きく軽減します。
入院費用が必要ない
入院費用は手術費用全体の大きな割合を占めていますので、入院の必要がない日帰り手術の場合はかなりの費用節減が可能です。
当院で行う日帰り手術を入院して受けた場合、7~10日の入院が必要になり、1.5倍から2倍以上の費用がかかります。
事前の準備やアフターフォローが不要
手術で1週間程度入院する場合、不在となる期間が生じます。
その間の仕事や家事、育児、介護などを周囲に頼む準備、そして退院後にも復帰してからのフォローが必要になりますが、日帰り手術では早い復帰が可能であり、こうした準備やフォローもほとんど必要ありません。
また、入院しませんので、着替えやケア用品などの持ちものの用意も不要です。
リラックスして安静に過ごせる
日帰りとはいえ、手術である以上、ご帰宅後の安静は必要です。慣れたご自宅で過ごすわけですから、リラックスでき、他人に気を遣う必要もありません。
安心できる体制
日帰り手術を当院で受けた患者様には、夜中や早朝にも対応する緊急連絡先の電話番号をお伝えしています。安全性が高く術後の合併症リスクも抑えた手術ですが、万が一の際にも迅速に対応できる体制を敷くことで、患者様の安心感につなげています。
また、重篤な合併症を起こした場合に備えてバックアップしてくれる入院可能な連携病院もありますので、安心してお過ごしください。
遠方にお住まいの方は手術当日に近隣のホテル等に宿泊をお願いすることがあります。
日帰り手術の流れ
手術内容や状態などによって内容は若干変わりますが、事前診療から術後の経過観察までの基本的な日帰り手術の流れをご紹介します。
Step1ご来院
日帰り手術には事前診療が必要になりますので、まずはご来院ください。ネット予約は30日先まで可能であり、待ち時間の短縮にもつながります。
Step2診察・病気の評価
問診で症状や経過などを伺って、血液検査、内視鏡検査などから必要な検査を行います。診察と検査結果から手術適応を判断し、安全な手術が可能かどうかを確かめます。
Step3治療方針や手術日の決定
問題がなければ、患者様と治療方針について相談します。
その上で手術を希望される場合には、その内容や注意点などについて詳しくご説明し、手術日を決定します。
Step4手術
予約した手術日にご来院頂いて、手術を行います。高度な内視鏡システムや低侵襲で正確な手術を可能にするマイクロ・デブリッダーなどを用いることで精密な手術が可能になっています。
鎮静薬を併用した全身麻酔または局所麻酔によって、痛みを最小限に抑えた手術を安全に行っています。
Step5術後経過観察
手術終了後には、個室のリカバリールームでしばらく休憩し、状態が安定したことを確認してご帰宅となります。術後の過ごし方についても、わかりやすく丁寧にお伝えしています。
なお、いつでも迅速に対応する緊急連絡先の電話番号をお渡ししますので、万が一異常に気付いたら真夜中や早朝でも遠慮なくご連絡ください。
Step6再診
患部の状態確認、必要な処置の実施、薬の処方などのための定期的な受診が必要です。
Step7治療終了
順調に治って問題がないと医師が判断したら、治療が終了します。
高額療養費制度について
健康保険に加入している場合に、1か月間(1日から月末まで)の医療費自己負担分が限度額を超えると、超過した分の金額が支給される制度が高額療養費制度です。
自己負担限度額は、年齢や所得によって異なりますのでご確認ください。なお、予定された手術では限度額を超えることが事前にわかっているケースがあります。
その場合には、限度額適用認定証をご持参頂くと窓口でのお支払いが限度額までになります。ご持参頂けない場合にはいったん自己負担額を全額お支払い頂く必要があります。窓口でオンライン資格確認に同意していただければ、限度額適用認定証を持参する必要はありません。
加入されている健康保険によってこの制度の利用する際の申請窓口が変わります。詳しくは自治体や職場にお問い合わせください。
限度額適用認定証
手術前に申請し、手術日にご持参頂くと、当日のお支払いが限度額までになります。ご持参されない場合には、自己負担分をいったん全額お支払い頂く必要があります。
事前に限度分を超過することがわかっている場合には、事前の申請手続きをお勧めしています。
高額療養費制度
上記の限度額適用認定証をお持ちでない方は、手術当日は自己負担分を全額お支払い頂きます。一時的に限度額の超過分の負担が必要になりますが、後日超過分が支給されます。
自己負担額について
70歳未満の方
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当 |
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区分ア (標準報酬月額83万円以上の方)※ |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
区分イ (標準報酬月額53万~79万円の方)※ |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
区分ウ (標準報酬月額28万~50万円の方) |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) |
57,600円 | 44,400円 |
区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) |
35,400円 | 24,600円 |
※「区分ア」または「区分イ」に属する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額に基づいて「区分ア」または「区分イ」の該当となります。